仙台地方裁判所 昭和44年(わ)14号 判決 1969年3月25日
本店所在地
塩釜市港町二丁目一二番一六号
丸恵株式会社
右代表者代表取締役
中林秀雄
本籍
兵庫県津名郡東浦町釜口二五六番地
住所
塩釜市港町二丁目一二番一六号
会社役員
中林秀雄
明治四四年三月一〇日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官中村勲出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。
主文
被告会社丸恵株式会社を罰金六、〇〇〇、〇〇〇円に被告人中林秀雄を懲役六月に処する。
ただし、被告人中林に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、塩釜市港町二丁目一二番一六号に本店を置いて漁業を営む株式会社、被告人中林秀雄は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関して、法人税を免れる目的で、売上金額、雑収入金額の一部を公表帳簿に計上せず、旦つ漁網等の仕入を架空に計上して減価償却費を架空計上するなどし、これによつて得た資金を架空名義の簿外預金や手持現金として保管するほか簿外経費の支払等にあてる等の不正の方法により
第一、昭和四〇年一月一日から同四〇年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が三一、六七五、一〇二円、これに対する法人税額が一一、四〇二、九〇〇円であつたのにかかわらず、同四一年二月二八日、所轄塩釜税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一一、七四五、八九七円、法人税額が四、〇三二九六〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額七、三六九、九〇〇円ほ脱し
第二、昭和四一年一月一日から同四一年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二〇、七三三、〇八五円、これに対する法人税額が六、九〇五、三〇〇円であつたのにかかわらず、同四二年二月二七日、所轄塩釜税務署長に対し右事業年度の所得金額は四、一七二、〇六九円、法人税額一、〇五七、八二〇円(誤算であつて、右所得金額に対する正当税額は一、一二九、七二〇円である。)である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の実際の法人税額と右申告税額(但し右正当税額)との差額五、七七五、五〇〇円をほ脱し
第三 昭和四二年一月一日から同四二年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四五、九四五、六〇一円、これに対する法人税額が一五、七〇九、一〇〇円であつたのにかかわらず、同四三年二月二六日、所轄塩釜税務署長に対し、右事業年度の所得金額は二〇、八三六、四一八円、法人税額が六、九二三、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額は八、七八五、四〇〇円ほ脱したものである。
(証拠の標目)
全体につき
一、被告人の当公廷における供述、および大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書と被告人の検察官に対する各供述調書
一、大蔵事務官作成の売上計上洩れの調査書
一、大蔵事務官作成の各不正取引調査書(桃井製網関係、日漁網関係)
一、大蔵事務官の山崎隆雄に対する質問てん末書
一、被告人中林秀雄の各上申書(一〇通)
一、松田功の各上申書(四通)
一、大蔵事務官の高瀬彰一に対する質問てん末書
一、中島水産株式会社前田正三郎の上申書
一、大蔵事務官作成の簿外預金等調査書
一、大蔵事務官の谷川耕作に対する質問てん末書
一、大蔵事務官作成の未納事業税額計算書
一、板橋幸吉の検察官に対する供述調書、および大蔵事務官の同人に対する各質問てん末書
一、税務申告書類一綴(証一〇号)
第一の事実につき
一、法人税確定申告書(証一号)
一、昭和四〇年度正伝票(証四号)
一、昭和四〇年度損益勘定帳管理費内訳帳(証五号)
一、大蔵事務官作成の8/12期法人税修正申告書謄本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四〇年一月一日至昭和四〇年一二月三一日)
第二の事実につき
一、法人税確定申告書(証二号)
一、昭和四一年度正伝票(証六号)
一、昭和四一年度損益勘定帳管理費内訳帳(証七号)
一、大蔵事務官作成の40/12罰法人税修正申告謄本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四二年一月一日至昭和四一年一二月三一日)
第三の事実につき
一、法人税確定申告書(証三号)
一、昭和四二年正伝票(証八号)
一、昭和四二年度損益勘定帳管理費内訳帳(証九号)
一、大蔵事務官作成の 期法人税更正通知書謄本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四二年一月一日至昭和四二年一二月三一日)
(法令の適用)
被告会社に対し
判示事件につき各法人税法一六四条一項、一五九一項、七四条一項二号
以上につき刑法四五条前段、四八条二項
被告人に対し
判示事実につき各法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)、七四条一項二号
以上につき刑法四五条前段、四七条本文一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)
執行猶予につき刑法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 細野幸雄)